新進演劇人育成公演
舞台歴1年以上10年以下の演劇人を育成する公演事業です。
【演出家部門】では「経験豊富な俳優およびスタッフが座組の中心となっていること」、
【劇作家部門】では「経験豊富な演出家および俳優が座組の中心となっていること」を条件としています。
演出家部門 『ある時間』
作:藤田 傳 演出:神原弘之(育成対象者)
2023年9月27日~30日
下高井戸HTSスタジオ

撮影:宮内勝
演出:神原弘之(育成対象者)
今回、経験豊富な出演者に出ずっぱりで舞台にいてもらうこと、HTSスタジオという小劇場で回り盆の仕掛けを組むことなどを試みた。出演者に負荷をかけることで化学反応的作用が現れないかと期待してのことだったが、それ以上の効果を生みだせた。同時に、演出家として自分の考えやイメージを出演者やスタッフに伝えることの難しさも強く感じた。作品をつくっていく過程で一番重要なことは相手との信頼関係だと気づいた。時間がかかっても諦めずに出演者に自身の思いを伝えることを続けた結果、良い作品ができあがったと思う。(神原弘之/演出)
劇作家部門
『流れる血、あたたかく』
作:三上陽永(ぽこぽこクラブ/育成対象者)
演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
2024年9月11日~23日
Space早稲田

撮影:横田敦史
作:三上陽永(育成対象者)
実際の事件を扱って本を書くのも、取材をするのも今回が初めてで、これが最初のハードルとなった。実際に取材をし、生の声を聞くと、資料だけで作り上げた脚本の原案は全てひっくり返ってしまった。これまでの構想を捨てるのはかなり勇気が必要であったが、演出の日澤さんの助言に励まされ、稿を重ねた。その後、稽古場に役者兼作家として参加しながら、演出・役者・たくさんのスタッフといったたくさんのクリエイター(表現者)達が一緒になって「揉める本」である事が大切なのだと気づけたことは、今後の私の演劇人生において大きな財産となるだろう。
俳優部門 『ドリル魂2024』
作・演出:横内謙介
2024年9月7日~15日
すみだパークシアター倉

俳優:執行巧真 (育成対象者)
これまで自分の個性とはなんだろうと悩むことがとても多かったが、今回任せていただいた役は、男らしさがあり、不器用だけど真っ直ぐなとても愛すべき役で、言葉をストレートに真摯に伝えることがどれだけ格好いいかに気づかせてくれた役であった。ただ一生懸命にその場に生きる、それに尽きると感じた。もちろん言葉をお客様にしっかり聞いてもらえる発声や表現をするであるとか、言葉をしっかり立てるとか技術的な部分も必要ではあるが、上手く見えているような小手先の技術に頼るのではなく、芯をしっかりと持った役者になっていきたい。
俳優部門 『遥かな町へ』
原作・テキスト:谷口ジロー
演出・脚色:ドリアン・ロセル、デルフィヌ・ランザ
脚色:カリンヌ・コラジュー
翻訳・脚色・演出助手:山上優
2022年11月23日~27日
シアターX

撮影:佐野洋之
俳優:稲葉歓喜
演出家は役者全員に対して年齢関係なく平等に接し、常にどんな小さなことでも役者の意見に耳を傾けようと努めてくれた。常に役者全員がトライしやすい雰囲気が流れていたことで、稽古場で何も恐れずにトライし続けることができた。海外の演劇人と関わる機会は、確実に日本の演劇人を育てることに繋がると感じた。体一つで勝負して自分という人間を丸裸にしなくてはいけない瞬間がある俳優には、とにかく稽古場でどれだけ失敗できるかというのはとても大事であり、失敗が許される環境がなくてはいけない。一緒に仕事をする人たちへのリスペクト、どのようにコミュニケーションをとっていくかが鍵なのではないかと思う。