掲載日:2007.4.9

日本劇団協議会NEWS No.177 発行日:2007.4.9

●「創作劇奨励公演」文化庁舞台芸術創作奨励賞受賞作品制作団体募集
日本劇団協議会では、文化芸術創造プラン(新世紀アーツプラン)「芸術団体人材育成支援事業」として、文化庁舞台芸術創作奨励賞受賞作品を毎年主催公演として上演しており、今年度は17年度特別賞受賞の三井快氏の『漂流物』を一跡二跳に、また佳作受賞の霜康司氏の『帰り花』を青年座に制作していただく予定です。この度、平成18年度受賞作品が、下記のように発表されました。今回は特別賞の該当がなく、佳作3作品のみでした。戯曲は事務局にあります。平成20(2008年)年6月から平成21年(2009年)2月の期間で上演をご検討いただける団体は、事務局までご連絡下さい。なお、制作団体は、作者と相談の上、公演企画委員会で承認し、常務理事会で決定されます。

◎企画提出締切=7月27日(金)
◎お問い合わせ=事務局・松村久美子 


*佳 作「おちゃらか山荘」 作/尾?太郎
贈賞理由/今年は全般的な傾向として、台詞でプロットを説明してしまい、人物が他者と関わりドラマを作る戯曲が少なかった。その中でこの「おちゃらか山荘」は破綻した天才を描き、その生き様を周囲の人物に語らせてもいるのだが、人物の語る言葉には体温があり、ト書きにはイメージが感じられた。一人台詞でさえ他者に投げかける台詞であったのである。少なくともドラマを作ろうとするこの姿勢は評価したい。
 もちろん、それではまだ戯曲に対する贈賞理由にはなるまい。「天才」の造型が甘いという声もあった。が、相手は天才。容易に手の届く存在ではない。天才があがき苦しんだように、まだまだあがき苦しめばこの造型が深まっていく可能性はある。そして私にはその可能性は十分に感じられた。少なくとも「ドラマへの志向性」を感じさせてくれた作者ではある。今後に大いに期待したい。

*佳 作 「 海士 」 作/村木 直
贈賞理由/オーストラリアの僻地で技術者として生きる日本人の姿を描く。その着眼点が異彩を放つ。扱われる技術が「真珠の養殖」という点も意表を突く。異国で生活者として生きる日本人。バックパッカーとして通り過ぎるだけの日本人。立場の違いから生じてくる価値観のズレやひずみを独白に頼らず、会話で成り立たせようとしている作者の姿勢に好感が持てる。ただ、難点は少なくはない。一般に馴染みの薄い設定ゆえ冒頭場面が理解しづらく、物語が立ち上がってくるまでに時間がかかりすぎている。何より気に掛かるのは、様々なタイプの日本人を登場させながら、結局は生活至上主義を支持するかのように、バックパッカーの青年に対する作者の視線が冷ややかで一面的なこと。この青年の価値観に作者の苦闘がもっともっと費やされていれば、描こうとする世界観に深みが出たのではないか。真珠の養殖という仕事がら、「筏の上」ですべてが進行する設定は登場人物の立っている場所や心の不安定さを暗示していて秀逸なのだが。

*佳 作 「 沈める町 」 作/実村 文
贈賞理由/「地下道、高架下、室内…そのいずれでもないような、がらんとした空間」で芝居は進行する。最初は関わりのないように見える人物たちがやがてのっぴきならない関係であることが徐々に分かってくる。そのスムーズな移行にまずハッとさせられる。描かれているのはホームレス、フリーターといったきわめて社会的な問題と見えて、実は同性愛、異性愛、人格障害、といった精神的な問題に発展していく。いわゆるどろどろした内容だが、この作品はある種の透明度をたたえつつしかも清潔感を失っていない。このような作品の場合、結論に達しないままに単なる問題提起で終わることも多いが、きちんと結末まで筋を運んでいることも立派な構築力であるように思う。ただ、樋口一葉の『にごりえ』を現代劇としてよみがえらせたいという作者の思いは十分に伝わっていず、沈んだ町といわれる幻の町イスとのつながりがもう一つはっきりしない点が惜しまれる。

●「創作劇奨励公演」新進劇作家の公演企画募集
日本劇団協議会では、主催公演「創作劇奨励公演」事業で、前掲の文化庁舞台芸術創作奨励賞受賞作品の他に、新進気鋭の劇作家の作品を上演しております。下記の内容をお読みの上、該当する企画のある劇団は、その構想をまとめた企画書・戯曲各10部(これから書き下ろす場合はシノップス)と簡単な予算書を事務局へご提出下さい。なお、応募多数の場合は、文化庁舞台芸術創作奨励賞受賞作品上演を優先することをご了承下さい。

◎内容=新進気鋭で将来性のある若手劇作家の新作(試演程度の公演は構いません)
    *すでに創作劇奨励公演の対象となった作家は対象となりません。
*新進気鋭の劇作家の略歴を必ず企画書にご記入下さい。
◎上演期間=平成20年(2008年)6月〜平成21年(2009年)2月
◎企画提出締切=7月27日(金)
◎お問い合わせ=事務局・松村久美子

●加盟劇団上演記録募集
機関誌「join」別冊に掲載予定の上演記録を募集いたします。
 この記録は毎年日本劇団協議会でまとめ、発行しており、公演活動の貴重な記録として対外的に活用されています。記入用紙を同封(担当者宛封筒)いたしました。「上演記録の書き方」を、よくお読みの上、ご記入の上ご提出下さい。

◎対象=2006年4月1日〜2007年3月31日
◎締切=4月25日(水)
◎お問い合わせ=編集担当・岸本匡史  tel : 03-3316-2824
        事務局・大笹ひろみ 

●平成19年度文化庁新進芸術家 海外留学制度
日本劇団協議会はじめ各芸術団体推薦のうち、平成19年度研修員(演劇分野・日本劇団協議会推薦)が、下記の通り内定した旨、2月26日付け文書で文化庁から通知がありました。

【海外留学】
●1年派遣(350日)
 青木鉄仁(俳優/青年座)=大韓民国(ソウル)
 佐藤 淳(俳優/文学座)=中国(上海)
 広瀬 彩(俳優/木山事務所)=イギリス(ロンドン)
 村山真哉(パントマイム/汎マイム工房)=スイス(ロカルノ)

●特別派遣(80日)
 栗城 宏(演出/わらび座)=アメリカ(アッシュランド・ニューヨーク)
 松野方子(俳優・演出助手/仲間)=ドイツ(ニュルンベルグ・ヘレクスハイム)
 山本道子(俳優/文学座)=イタリア(ローマ)

●加盟団体代表者・担当者変更のお知らせ
*目覚時計  
         担当者/稲垣美穂子 → 浅子めぐみ
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